と同時に、文春新書に関して言えば文春ジャーナリズムという言葉で表現される、時代感覚に敏感な独特の編集風土による面も少なくないだろう。文春新書が誕生したのは98年1月。創刊時刊行の作品からマネー敗戦(吉川元忠)、史実を歩く(吉村昭)というヒネットが生まれ、マネー敗戦は98年の新書ベストテン5位(ノンフィクション、トハン調べて史実を歩くは6位にランクされた。99年はヘッジファンド(浜田和幸)が6位、マネ敗戦も前年に続き1位にランクインしている。もっとも99年は、1月に文春関係者の言を借りれば通常考えられないようなお粗末な盗作絶版問題が発生したりして、全体的に見て必ずしも好調というわけではなかったようである。しかし2年は、ローマ人への却の質問(塩野7生)が年初から飛び出し、また執行役員(吉田春樹)も順調な売れ行きという。かなと思っている。ただそうは言ってもまだ1年半たっていないわけだから、挑戦者の立場でやって新書コーナーだけでなく関連各コーナー老舗3新書がしっかり棚を押さえ、既刊本の回転数で基本的には勝負しているのに対抗する手段として考えられた側面もあるし、今や時代の進み方は急激で、既刊本の回転数で勝負する時代にかせる販売戦略は、講談社新にしても集を確保し、地道に重版を重ねていくタイプの作品を中心にしているのに対し、敢えて言えば初速を重視したベストセラー狙いの作品を中核に置き、そのパワーで他をも引っ張り上げる販売戦略を取っている点にある。

